建材メーカー訴訟 全国10地裁で一斉提訴

建設アスベスト被害の全面解決に向けてあらたな闘いが始まりました。

6月7日、建材メーカーに謝罪と賠償、補償基金への参加を求めて、原告190人(被災者137人)が全国10地裁に一斉提訴しました。神奈川では、新メーカー訴訟原告団を結成し原告9人(被災者7人)が提訴。ほかに被災者7人が追加提訴を予定しています。

横浜地裁での提訴行動には、原告・弁護団・組合の仲間ら約200人が集まり、全面解決を早期に勝ち取る決意を固めあいました。

建設アスベスト訴訟は、原告の命を懸けた裁判闘争の結果、昨年5月の最高裁判決で国とメーカーの責任が明確に認められ、菅首相が原告に謝罪、国との基本合意が成立しました。国との間では基本的に裁判は終結に向かい、未提訴の被害者の給金法に基づく救済も進んでいます。

一方で建材メーカーは、争う姿勢を崩しておらず、裁判の長期化で被害者の泣き寝入りを狙っているとしか言えない不当な対応を取り続けています。

遅くとも国と同じ時期にアスベストの危険性を認識しながら、自らの利潤追求を最優先して多くの被害を発生させており、その責任は国以上に重いと言わざるを得ません。今回の全国一斉訴訟は、メーカーに対する原告被害者の強い怒りを示すもので、真摯な謝罪と訴訟の一日も早い解決、すべての被害者を全面的に救済する制度への参加を決断させるたたかいのあらたなスタートです。

原告の声

 鈴木良三さん(電工)「抗がん剤をやっているがとても厳しい。3週間ほとんど食べられない。朝バナナを食べ、昼は食べられない、夜はほとんどスープ。肺に水が溜まって苦しく、肺を取ってくれって言ったんです。全部摘出しちゃうと大変だっていうんで抗がん剤やっていますが、本当に苦しい。我々が悪いことしたわけじゃない。ただ仕事してただけ。企業には補償してもらわなければいけない」

 中村義克さん(大工)「自分でなりたくてなったわけではないし、補償金なんてもらっても健康な体に戻るわけないのでうれしいわけないですよね。当時、材料はこれ使え、あれ使えと上意下達。自分で選ぶ材料なんて、下請け工事ではない。そういう立場だった。あてがわれたもので仕事する。梱包やぶったまま来るものもあって、どこのメーカーなのか、どこで作ってるのか把握できる状態じゃなかった」

赤城富夫さん(電工)「防火壁の加工・取り付けをしたり、自分のすぐそばで吹き付けしていたり、当時それが危険だという話なんてなかった。症状出たのは4、5年前。どうしてこんなに息が苦しくなるのか最初はわからなかった。メーカーには被害に対しては面倒見てもらわなければならないと思う」